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「【文学】芥川龍之介「羅生門」完全版!さらに「鼻/地獄変/西方の人」など人気作も一挙解説!人間の醜さと闇を傷害のテーマにした芥川龍之介の全てが明らかに!」の備忘録

中田敦彦YouTube大学

【文学】芥川龍之介羅生門」完全版!

さらに「鼻/地獄変/西方の人」など人気作も一挙解説!

人間の醜さと闇を傷害のテーマにした芥川龍之介の全てが明らかに!

 

 

youtu.be

 

 

 

前略

 

ども

中田敦彦です

 

さぁ今日も行きましょう

エクストリーム文学

芥川龍之介羅生門」編

 

下人

 

よろしくお願いします

 

さぁきました

芥川龍之介ですよ

もう芥川賞のね

芥川ですから

まぁ知らない人いないですよね

 

本当もう又吉さんがあの芥川賞とった時はね

本当にショックでした

全然関係ない話

全然関係ない話ですけどね

ぶわぁーーてね

嘘だろーー

て本当あのなんですか

同期のねあの

トレンディエンジェル同期なんですけど

まさか同期がM1獲るとはっていう時もね

ショック受けたんですけど

そんな目じゃないですよ

やっぱりねもうあの同じ時代を戦った

あの又吉直樹

まさか想像もしていない

芥川賞を獲るなんてというね

僕はもうあんなにもう倒れ込んだ日はないですね

嘘だーっつってね

そんな業績を残す男がいるのかー

つってぶっ倒れたんですけども

 

それぐらいやっぱね

芥川賞の重みってすごいわけですよ

 

もう文学と言えば日本ではね

純文学といえばもう

芥川賞

こうなってるわけです

 

じゃそれがなんなのか

じゃあ本人のその賞になってる

芥川龍之介とはどういう男なのか

まぁその中でもね

教科書に載ってる作品ていうのがこれなんですよ

羅生門

 

もうなんかさ

激しそうじゃない?

もうなんか羅生門てね

でもね非常に短い話なんですよ

 

これまぁなんか読んだことある

っていう人多いと思いますし

なんかイメージはね

なんかちょっとおどろおどろしいイメージだけ

残ってる人も多いと思います

 

でもね

なんか読み直す気にもならないなぁとか

なんかよく分かんない

好みじゃないかもな

っていう方もね

非常にシンプルにご説明しますので

是非お聞きください

 

羅生門はめちゃくちゃ短いお話です

だから教科書に収録しやすいんですよ

 

ですが

この羅生門に全てが詰まってる

ような僕は気がするんですね

シンプルで短いからこそ

なんでこんな話を書いたんだろう

これを想像させる

 

そしてそれがですね

芥川龍之介の核になる気持ちなんですねぁ

 

さぁ舞台は羅生門です

ねぇ羅生門っていうね

これあの平安京があるじゃないですか

あの平安京の時代の末期ですね

もう国が乱れてます

もうね羅生門はね

元々は羅城門ていう名前なんですよ

本当は羅城門

ただ現在はもう京都にはない

朽ち果てて消えて跡だけが残ってるらしいんですが

 

羅城門

何故か羅生門と言い換えて

芥川龍之介はスタートしています

 

この羅生門はですね

正門なんですよ

平安京という都の

平安京という都はね

碁盤の目状にできてて

非常に計画されて造られた都市でしょ

中国のね長安だったかな?

どっかなその唐の時代かな

そのすごいあっちの大陸の

すごい煌びやかな都みたいなのを造ろうって言って

すごい力をかけてですね

こう桓武天皇が造ったわけですよね

日本史でやりましたよね

平安京やりました

鳴くよウグイス

それの正門

もうできたときはもう素晴らしい

うわぁーなんという

こんな門ができるのか

すげー都だ

これは次の世はいい世になるに違いない

という風な皆が憧れたあの正門羅城門

まぁもう羅生門で統一しましょう

羅生門ですね

 

平安京がもう乱れに乱れて

朽ち果ててボロボロになっているのだが

もう都の貴族たちには

建て直す余裕も関心もないという

荒れた平安末期が舞台です

 

なかなか平安京の話って言うと

結構雅やかなね

源氏物語とかね

なんかああいう感じが平安京っぽいじゃないですか

我々の平安京ってなんかこうね

十二単着てね

なんかわぁーみたいなこういうさ

なんか光源氏みたいな

そういうイメージだと思うんですけど

なんかね平安末期がこれだけ荒れ果てている

っていう舞台設定自体がね

非常にリアリティがある

 

なぜこんなにリアリティがあるのか

これはですね元々

今昔物語集という

古い平安期にまとめられた説話集があるんですけども

そこの話を組み合わせて作ったものなんですよ

 

平安時代はですね

今昔物語集これね

全部ね始まりが

今は昔のことですが

というお話のことで始まるんですよ

 

要するに

その平安の頃にすでに

もう昔話として語られてるような

ことをね

そのことをまとめたもの

誰が作者なのかはよくわからないという

作者不明のいろんな

口頭で伝えられてる伝承されてるお話をまとめたものをですね

こうまとめたということなんですね

 

それを基に

周知的ですよね知的

これなんとですね

東大の大学生在学中に書いてたんですよ

天才です

すごいですよ

東大に入って大学在学中にもう

これを書き上げた

 

ねぇ

ただこれはまだそこまで評判にはなってなかった

後にこれがとりだたされて

教科書に載るまでになるんですが

話はシンプルです

生きましょう

 

まずはクビになった下人が主人公です

下人って何?

怖い

下の人

アンダーヒューマン怖いですね

こうパーフェクトからし

アンダーヒューマン怖いですね

パーフェクトヒューマンアンダーヒューマン怖いですね

 

これ下人というのはですね

当時その貴族とかの

お屋敷に務めていた使用人のことですね 

使用人がいたわけですよ

だからただもうピーク過ぎた平安京ですから

使用人そんなに抱えられないんですね

ですから

色々あって君もうクビというね

ことを言い渡されて

四、五日前にクビになった使用人なんですよ

どうする?

こんな退廃した都で

もうクビって言われて

 

えぇー私がですか!

なんか悪い事しましたか?

なんかなんでもしますからみたいな

 

もう余裕ないんすよこっちも!

クビ!

 

はぁ

四、五日フラフラして

四、五日前にクビになって

もうどうしようかなぁ

気づいたら門に来ちゃってるんですねぇ

そして雨が降ってるんですよザァーザァ

この羅生門はですね

できたときは豪華だったけど

もうボロボロになって

今ではですよ

上に身寄りのない死体が放棄されてるって噂なんですって

にわかに怖いものになってきましたね

 

怖いなぁ

いやぁーなんだよ旦那様

クビってひでえじゃねえか四、五日前によー

もうこんなボロボロの門の下で雨を凌ぐしかねぇなぁて

こうなってるわけですね

 

その上で

心の中にですね

どうしたもんかなぁ?って考えながら

このね特徴のニキビをずーと触ってるんですよ

迷いながら

それもなんか要するにおどろおどろしいよねぇ

 

わざわざ書かなくていいじゃん

ニキビを触ってたみたいなね

書かなくていいんだよ

でもなんかなんか書いてあんの

ニキビを触っていたのである

怖いよね

どろどろしてね

 

それで考えてるわけですよ

何考えてたかって言うと

あれ?俺この後どうやって食っていこう

もし必死で食ってくんなら

泥棒とかやらなきゃいけないかなぁ?

これが悩みだったんですよ

 

それをニキビ触りながら

俺泥棒とかになんなきゃいけないのかなぁ

いや待てよ

いやでもそんなことしちゃぁダメだよな

これが下人の主人公なんですよ

 

こんな暗い主人公いる?

クビになってさ

ボロボロのさ死体がいるかもしんねぇ

っていう門の前にさ

ニキビ触りながら

俺泥棒になんなきゃいけないのかなって

どういう一巻なのこれ

などんな絶望

ウシジマくんより暗いよね絶対ね

 

クビになっちまったよぉみたいなさ

もうどうしよう盗人やろうかな

みたいなこと言ってるわけですよ

 

でもうね

これはもう寝なきゃいけないから

雨降ってるからヤバイから

門の上行くか

どうせ死体しかないんだしつって

カツーンカツーン怖いけどね

 

まぁ大体雨凌げるとこもどこも限られてるわけですよ

ガードした行くとかね

川のね橋の下行くとかね

もうそういう感じで門のね上行こうと思って

カツーンカツーンと行ったなら

 

あれ?ぼんやり光がある

あれ?なんだ?誰かいるのか!

誰かいるのか?

悪い奴だったらどうしよう

ファーっと見たらですね

そこにはですよ

猿のようなババアがいたらしいんですよ

ホントにそう書いてあんだから

そんなことおばあさんにいうもんじゃない

私だったら言うよ

そんなことおばあさんに言ったらダメだよ

傷つくよ

でもホントに猿みたいだったんでしょうね

猿みたいなババアがいたと

 

うわぁー猿みてえなババアがいる

ってなったわけですよ

で何してんのかなー?

ってジーっと見てたら

ね!

 

その猿みてえなばあさんがですよ

死体がゴロゴロ転がっている中をウゾウゾ

こう動いてたんですね

何すんのかな

死体をこうずーっと見てる

ジーっと見てる

猿みてえなばあさん

 

そしたら

ばあさんがですねその死体のですね

女性の死体があった

その女性の死体の髪の毛をグッと掴んで

ブチブチブチっと抜くんですね

怖いでしょ

ずっと怖いでしょ

ずっと怖いのこれ

ずーとドロドロしてるなんかね

ブチブチブチって抜いて

なんか抜いてんすよ

ブチブチ!ブチブチ!

猿がブチブチブチブチ抜いてて

 

バーーバァーー

これですね

すごいシーンですよ

ニキビ触りながらバーーバァーー

今のところ一個も美しいものが出てきません

一個も美しいもんが出てきてないんですよ

 

もう盗人になんなきゃいけねぇかなっていうさ

このさ下人がさニキビ触りながら

バーーバァなんかやってんなぁ

ってなるわけですね

 

そして

その瞬間ですね

グーワってある感情が浮かび上がってきたんですって

あのババアがやってることは悪いことだと

なんでか分かんないけど

あれは酷いだろと

死体のさ死んでる女性の髪の毛

ブチブチ引きちぎるようなやつは

もうロクなやつじゃねぇ

こいつをとっちめなきゃいけねぇつって

ガガガっと入っていったんですね

刀持ってるんですよ

刀を持ってるんですよこの下人

ね!

 

それ、持ってぐわって出た

そしたら猿みたいなババアが

ハァ!!って気づいて

見られたぁ!て思ったら

ホントに猿みたいに飛んでですね

ビューン!飛んで逃げようとするんですね

ガタガタガタガタって

そしたら下人が

待て待て待て待てってタックルするんです

ババア待て!ババア待て!

逃がせ!邪魔だ!

 

もう地獄ですよ

ボロボロの門の上で

ババアとねクビになった男がこんななっちゃって

待てっつって

落ち着け!とか言って

バチーン!張り倒してですね

ババアが、何なんですかぁ!って

なんなんじゃぁー!!って

急になんじゃお前は!つって

落ち着けばあさん!ってね

俺は警察じゃねぇ!警察じゃねぇんだ!

検非違使の役所のあれじゃねぇ!

落ち着け、逮捕はしねぇ!っつってね

俺はただなんで髪ブチブチひっこ抜いてたか知りてぇんだよ!

なんで?っつったら

それだけ言えば許してやるよ

って言ったんですね

こええからね

 

なんでやってたんだつって

へぇへぇつってババアがね

それはな、決まっとろうがぁ

死人の髪引っこ抜いて

鬘にして売るためじゃぁ!っつったんですね

 

売ろうとしてたんですよ

その髪をね

女性の長い髪をね

あるじゃないですか

その鬘にして売るみたいな

人毛をね

 

そうかぁハァっつってね

聞いてその上で

そんなもんしていいのかぁ!っつってね

言うわけですね

 

そしたら

いいよぉ!ってババアが言うんですね

この女はそんなことされてもしょうがねぇ女なんじゃぁ!

って言うわけですよ

どうしてだぁ!って

こいつは詐欺師じゃ!この女は!っつってね

 

生前その女はですね

蛇をね捕まえて

そいつを切り身をですね干してですね

それを干した魚の干物だって言って

侍に売って歩いてたんですって

だからまぁ偽造の品ですよね

 

それがなんか

案外いけますねぇ!ねんて侍も言ったらしくて

これ人気店になったらしいですよ

侍の下の具合はちょっとわかりませんけども

おぉいけますねぇ!なんつってね

この魚どこのですか?

いやぁどこのまぁあそこらへんの魚ですみたいな

あぁ旨いですね!買います!みたいな

 

ババア

あれ蛇じゃぁ~っつってね

あれは蛇じゃぁぁぁぁ!!!

って地獄ですよね

何が平安絵巻物なんだっていうね

我々の知ってる平安時代は全くないんですよ

もう貧しくて貧しくてね

蛇を魚と言って売っていた女の

髪をブチブチ引き抜いて鬘にしようとしていたババアを

捕まえてるクビになった下人ですからね

もう全員地獄ですよ

全員が貧しいというね

この状況で

 

そうかとそうなのかと

だからこの女はじゃな!もうそんな目にあったって

しょうがないん女じゃし

わしのこういう行為も別に大目に見てくれるっつうんじゃぁい!

っつってババアが開き直るわけですよ

 

そしたらですね

下人の方がですね

あぁそうかよ!そうかよ!

そいつはもうそんな目にあってもしょうがねぇっつうんだな

そうじゃぁ!わしだって生きるために仕方なくやっとるんじゃ

人間生きるためならなんでもするじゃろ!つって

あぁそうかぁ

 

そこでですねフッと

最初に悩んでたことが吹っ切れるんですね

 

盗人になんなきゃいけねぇのかなぁ

って言ってましたよね

あの悩みがパーンと吹っ切って

ニキビから手がポーン離れます

 

じゃあ俺もやってやるよぉ!って

ババアをものすごい押し倒してですね

その着てた着物をですね

追いはぎするんですね

この服よこせー!っつって

ババアが

なんじゃお前ぇー!

さっきまでお前、正義ぶってたやつがお前!

よこせぇ!俺は四、五日前にクビになったんだばかやろー!

べろん ぎゃー!

もってくからな!ババア!つって

うわぁーー!タンタンタンタンタンタンタン!

降りてくんですよ門を

 

でババアがもうヨロヨロになって

なんだ!なんだ!バッてね外を見たら

その下人はもう闇に飲み込まれていた

下人の行方はだれも知らない

 

これで終わるんですよ

非常にシンプルな話でしょ

知らなかった?新鮮だった?

羅生門ってこういう話

とんでもなく何でしょうね

ギューって濃縮されてる

これを大学時代に書いたと

 

この話は「羅城門」というね話と

「売魚」ね魚をですね

だから蛇を魚にして売っていた女っていう話

これをくっつけ合わせてですね

でさらに下人が元々盗人だったとか

こっちはそういう設定だったんだけど

それも変えて

この葛藤をこの形にギュッと収めたという

古典に由来を解いてですね

1つ大きな新しい作品を作ったということなんですね

 

この羅生門非常に短いんですが

短いが故に

これ何の話?

が分からないと面白くないわけなんですよ

このね短いというところね

非常にこの芥川龍之介の個性が表れてまして

なんせこれね

短編の芥川

これ覚えておいてください

芥川龍之介の大きな特徴はですね

短編が非常に評価されているんです

 

逆に言うと

長編はなかなかものにならなかったんです

 

それはなぜなのかも含めてですね

芥川の人間性を見ていきたい

私あのー三島由紀夫のね

もう命題は「男」「死」「美」

そういう風に言ったんですね

もう三島由紀夫はずーと一生かけてですね

その男のことと

男とはなんだ?

男ってかっこいい

マッチョっていうねものと

美しいってなんだ?

死ぬってなんだ?

この三つを考えた

 

じゃこの芥川龍之介何を考えたか

障害に渡り

人間の醜さと闇

について考えます

 

人間は醜い

ここなんですよ

これがもう大テーマです

芥川龍之介が生涯をかけて立ち向かったテーマというのが

人間の醜さ

人間は醜いじゃないか

人間はみんな俺もお前も醜いじゃないか

ということと闘った男なんですね

これが面白いですよ

 

さぁそのね出自に大きくね

彼の作風が描かれると表されると思うんですよ

というのもね

羅生門とかこの文学編やって思ったんですけど

最初の一行と最後の一行って

むちゃくちゃ大事なんですよ

 

これね俺あのQさまとかクイズ番組とかね出るときも

最初の一行が問題になったり

最後の一行が問題になったりするから

あ、そういうのよく出るんだぁって

何度か覚えてたりもしてたんですよ

なんかクイズ対策的な感じで

でもそうじゃないの

 

それぐらいインパクトに残るぐらい

強烈な一行が最初と最後に多いし

その最初と最後に

結構ねそこの全てが詰め込まれてるんですよ

何を思ってたか

何を表現したかったのか

そしてその作家の作る作品の最初と最後に

ギラーンとねテーマが絞られるように

生まれたときの幼少の育ち方と死に方に

その作家の全てが表れる

そう僕は思ってます

 

どんな生まれだったか

なんと生後7か月で母が精神を病んでしまう

おかしくなっちゃうんだって

でもう叔母に預けられて

その後11才の時に母は死亡します

だから10年間ぐらいおかしくなった母を見てたの

叔母に連れられて

今日は様子がいいかなぁ?とか言って

挨拶に行くのお母さんに

実のお母さんだよ

でもずーとこう定まらない感じ

その上でもう自分がどうかも分からないから

急に手を上げてきたりする

そういうもう病んでいる母っていうものと

向き合う幼少期だったんですよ

もういきなり闇と向き合ってるんですね

ここなんですよ

 

母ってまず無償の愛をくれる存在だえうよね

そこになんだろな

暴力を加えられたとか

いなくなったっていうことじゃなくて

狂ったままそこにいたっていうんですよ

それがものすごい幼少の時の何かを歪めていくんですね

そして何かを形作っていく

ここは覚えておいてください

 

その上で

東大に入るんですね

頭はいいんですね

頭非常に優秀

その上で2年の時に書くんですよ

羅生門人間とはって書くわけですね

ただ評価はされない

 

そんな中

あの大文豪夏目漱石が現れます

夏目漱石はですね

もう前回「こころ」の授業でもやりましたけども

明治のスーパースターですから

明治時代の末期のスーパースターなんで

もうこの時には大ヒーローですね

 

これ夏目漱石門下に入るわけでよ

東大と言えばスーパーエリート

頭いいやつが多い

そしてそういうエリートたちの中から

文を書く小説家とかも出てくるんじゃないかというね

多分そういう会があったんでしょう

 

そんな中

漱石一門に入ったらですね

次に書いた「鼻」という作品があるんですよ

これを絶賛されるんです

夏目漱石

君はすごいと

新しい

恐らく次の時代の素晴らしい作家になるだろう

 

大正ですよ

そうその言葉の予言の通りですね

夏目漱石に見いだされたこの芥川龍之介

大正文壇の寵児になります

大正というね

その短くもこう新しい時代の

もうそのスーパースターに選ばれるんですよ

この「鼻」ってのはどういう話か

ここ知りたいですよね

 

これもすごい短いんですよ

すごい短い

どんな話か

 

ある所に坊さんがいたんですよね

坊さんがいたんですけど

50歳ぐらいですかね?お坊さんがいるんですけど

そのお坊さんの鼻がとにかく長いっていう話です

 

え?そんなバカな?って思うでしょ

え?夏目さんほんとに?っていう

夏目さんほんとにそれでいいんですか?って

でもこれがね面白いのが

鼻がね顎ぐらいまであったっていうながーい鼻で

ものすごい笑われてたんだってそれを

わ!何あの鼻!みたいな

おかしくない?みたいな

もう食べるときもね

汁を一人ですすろうと思ったら

鼻がねビチャっと浸かっちゃうわけですよ

だからお弟子さんがいるので

鼻をですねこう汁を飲むときは弟子にですね

箸でつまんどいてもらう

そういう生活をしてたんですね

 

でこうやって笑われるわけじゃないですか

笑われるから

こうね気にしないようにしてたんですって

あぁ別に傷ついてないしみたいな

感じでこうね傷ついてないからみたいな

感じでやってたわけですよ

もういいから箸は外しといて

もういいから!

飲み終わってるから!もういいから!傷ついてない

ってやってたわけですね

 

そんな中ですね

ある弟子がですね

先生!てね師匠!

なんだ?なんだ?って言ったらですね

鼻を短くする方法が分かったというやつが現れましたつって

本当か?

いや鼻を短くできるんですよ

実はですね

こうやってこうやってこうやればいいんですよ

え?それだけで?

なんか茹でた後踏むっていうね

え?それだけで?

いやでも気にしてないし俺ってなったわけですね

気にしてないからなぁ~これとか言ってたんですけど

茹でた後踏むだけか

一回やってみよう

ってなったんですね

 

で茹でた後ですね

あっちいなぁこんぐらいかなぁ?もう?もう?もう?

茹ってそうですけどねぇ

よし!じゃぁ頼むわっつってこうやって

きゅっきゅきゅっきゅ!あなんか出てきました

でそれ取り除いてそれ取り除いて

短くなったらしいんですよ

短くなったね

もうあれですね

鼻が長すぎるというよりは

なんかちょっと鷲鼻とかそういうレベルですね

ね!なるのね~すごいねあれねうん

と思ったんですが

 

これでもう笑われない馬鹿にされないと思って

外歩くんですけど

むしろそれがザワザワザワザワし

て笑われるんですって

 

わぁ何々さんえ?鼻!え短か!みたいな

え?どういうこと?つって

あぁぁぁぁぁって笑われるんですって

えーー!鼻どうしたんすか!とか言って

えーー!普通になってる!

ゲラゲラゲラゲラって笑われるようになって

 

それのことで

え?どういうこと?これどういう現象?ってなったわけ

え?だって短くなったんだぜ

今まで分かるよ!俺だけが鼻長かったから

笑われるの分かるけど

なんで短くなったのにゲラゲラ笑われてんの?

そうなのかと

人間ってのは

人の不幸は笑う

だけど人の不幸がなくなったら

少しい苛立ちを覚えるというか

焦りをおぼえるというか

なんか不幸に戻ってほしいっていう気持ちが

そうさせるんじゃないか? 

俺の鼻って短くならない方がよかったんかな?

って思うらしいです

 

そうしてしばらくしている内に

その効果が切れていって

だんだんと鼻がまた伸びて

戻っちゃったんですって

 

そしてお坊さん思ったそうなんですよ

これでもう馬鹿にされないかもなって

そういうお話なんですよ

ちょっと唸りますね

これはいったい何なのかっていうね

 

なんか最初コミカルな感じでね

皆もなんか

あ面白いなって

そういうコントかな?

って思いきや

なんか嫌でしょ

そのさ鼻が醜いっていうことだじゃなくて

それを笑う人間のこの闇

ここを突きつけられるわけなんですよ

これをとにかく見てる

醜い者それを囲む醜い者

どっちが醜い?

どっちも醜い

そういうことをずーと考える

それがですね

非常に個人の葛藤なんですよね

 

夏目漱石は要するにその 

「こころ」で描いたように

時代とか

その集団の道徳とか

そういうものの中から

段々と個人主義に移り変わっていくというね

そういう切なさを書いたんですけど

その個人主義の最たるものですよね

個人の自我に一番こうフォーカスした

そのくらーい闇を一人で覗くような

そういう作風に絶賛を浴びるんですね

 

そしてまぁその後ですね

非常にこういい時期を迎えるんですが

その最盛期に作られた「地獄変

これもですね非常に面白いので

まぁちょっとね今日はちょっと

オムニバス形式でストーリーをお伝えしていきますけど

 

地獄変も知らないでしょ

あんまり知らないよね

言っとこうね言っとこうね

地獄変も面白いですよ

地獄変

絵師がいたんですよ

一人ね絵がうまいんだ

だけどそいつはね

ものすごい絵を書くことにこだわりすぎるのと

顔が猿に

また猿なんだよ

すげぇ猿好きなんだけど

顔が猿に似てるっていうことで

ちょっと恐れられてたんだね

良秀っていうやつなんでね

そいつがだから似顔絵を描いたら

似顔絵を描いた女が二人続けて死んだもんだから

あの画家呪われてんじゃない?

なんて噂も立てられてる

それぐらい狂気の絵師良秀っていうのがいた

 

そのお殿様

堀川のお殿様ってのがいて

その良秀を雇ってるんだねxw

その堀川のお殿様ってのは

その良秀に絵を描かせる立場なんだけども

その良秀は実はですね

娘がいるんだね

娘は美しいんだこれが不思議とね

親父は猿みたいだが娘は美しい

その美しい娘を見初められてですね

おおいいじゃないか!うちのところに来いよということで

お殿様に嫁いだんだね

まぁ数いる女の人の一人なんでしょうけども

お殿様に嫁いだ

 

ところがこの良秀

絵の腕は買われてるが

1つね問題といいますか

娘がすっごい大事なんですよ

だからお殿様に取られたという気持ちの方が強い

普通はお殿様のところに嫁いだらね

あぁもうこれで安泰だ金は儲けれる

まそんな風にね思う時代もあったと思うんですけど

あんな可愛い娘をね

もうあそこに嫁がせるのは忍びないと思ってて

上手い絵を描いてはですね

 

おぉいいじゃないか!

これは素晴らしいね良秀なかなかやるじゃないか

お殿様ありがとうございます

これ褒美は今日は奮発するぞ

何が欲しいんだ?って言われたときにですね

僭越ながら嫁にやった娘を返してもらうことはできませんか?

これを言っちゃうんですね

しかも何度も何度も

断られても何度も言ってたそうです

 

それに関してはダメだと言ってるだろ!何だお前は!

あげた娘を返せ?そんなこと俺に言うやつは一人もいないぞ!

もう去れ!去れ!金はやるから去れ!

そういう続いてたって話なんですよ

 

その上でね

おい良秀!

ある日ね絵を頼まれるわけですよ

何でしょう?次のテーマはなんですか?

地獄が見たいなぁって言うわけですよ

地獄をお前描けるか?って

頑張ってみますって言って

そこからですね

その良秀がもう弟子をですね

鎖で吊るしたりですとか

動物を捕まえてみたいな

殺したりみたいなね

そういうところを見ながら絵を描くわけですよ

もうねうわっ良秀さんついにいっちゃったよ

 いっちゃってるよ良秀さん

なんてなるわけ

 

でも良秀は見たものしか描けないと

私はもうその似顔絵を魂を写し込むように描く

真剣に描く

必ずこの美しさも醜さも豪の深さも

全部をね写し取って描くんだって

私は現世にある物しか描けないし

ある物を見て描かなきゃいけない

そして自分の中に納得して描かないと

それは絵に魂を宿すことができないんです

 

そうやって信じてですね

弟子を吊るしたり

もう異常な行動をして

もう地獄をですね再現してですね

こうやって絵を描いてたんですね

 

そんな中でですよ

お殿様のとこに行くんですよ

良秀どうした?なんか悩みか?

製作進んでsんのか?

はい、進んではいるんですが

ど真ん中がどうしても描けないんです

ど真ん中に何描くつもりなんだ?

ど真ん中にはですね高級な貴族の牛車

車を置いていただいて

その車の中にですね

高貴な女性がいる

その車が燃え盛ってるという

そういう風景が浮かんできたんです

それをどうしても描きたいのですが

私は見た物でなければ描けません

なんとかなりませんか?

 

それを聞いてお殿様はですね

分かった用意する

こう言ったわけなんですよ

ありがとうございます

良秀が去った後にですね

お殿様が不敵に笑うんですね

すごいなんだこれはっていうね

 

そして当日が訪れるわけですよ

お殿様用意してくれたんじゃろうかな?

おお用意されとる

これは立派な車は立派じゃ

これに火を放つのかよし

お殿様お願いします

おお中も確認しといた方がいいだろ

開けてみろ

はぁバッと開けたんですね

そこには

縛られた自分の娘がいたんですね

お殿様これは?って

 

ボウ!火がバァー!って

あぁ!!

良秀!絵を描け!!

てこう始まるわけですよ

はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

それがですね

うわぁぁぁぁぁ!

そうやってできた絵はまごうことなき傑作となったと

良い絵を描くじゃないか良秀

それからですね

町中良秀をですね

悪く言ってた人たちも

誰も良秀のことを悪く言わなくなった

そして数日後良秀は自分で命を絶ちました

というお話です

 

おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

すごいですね

すごいでしょ

面白いでしょ

面白いです

すごいんです

 

これはですね

その当時芸術至上主義と言われたわけですね

まぁ芸術のためならなにもかもっていうような

ことをテーマに書いてるな芥川は

という風に言われました

 

ただですね

芥川龍之介自体もですね

市場に追い込まれたんですね

作品は売れるというかまぁ

作家の仕事もあるんですが

作家の仕事だけではですね

まぁ余り金が入らないわけなんですね

なので教師の仕事もやったり

ダブルワークだったりして

非常に多忙になってきます

ですごくもう多忙でフラフラの中で

創作のプレッシャーはどんどん上がるわけですね

 

夏目漱石先生に絶賛された

あの天才芥川さんですよね

また次もきっと素晴らしい作品をお待ちしてますよ

締め切りは明日ですからね

まぁそんな感じでですね

ずーと言われるわけです

 

文壇の中にはですね

夏目漱石に見いだされたから

売れてるだけだろというよな輩もいました

夏目漱石先生の目に狂いはなかったと

言わせなければというですね

この追い込みがですね

だからまさにですね地獄変の時のね

自分を描いてるんじゃないか

とも言われてるわけですよ

何もかももう背負い込んでですね

色んなトラウマとかプレッシャーとか多忙ね

で衰弱する体それでもとにかく書かなきゃいけない

そういうですね世界感に追い込まれていった

 

その上でさらにですね

芥川龍之介は激動の流れにね

飲み込まれていきます

あの恩師漱石の死

これはすごく大きな

心の支えが失われていくわけです

 

漱石さんに先生にね

あんだけ認められたという

その栄光の光

ハァそれが失われるだなんて

そして関東大震災ですよ

 

関東大震災ってものすごいね

恐慌の最中行われるんですね

戦争とか戦争と戦争の間の時代

その時代です

関東大震災の時って

日本はもうむちゃくちゃになってたんだ

っていうことを

日本史の動画をアップしましたので

是非ご覧いただきたいんですが

この時本当に追い詰められるんです日本は

戦争と戦争の狭間でね

さらに多忙

そして女性関係ね

 

その時結婚してた奥さんがいたんですが

自分は不倫関係を色々やってしまうんですね

その上でその女性からのですね

色んなプレッシャー

その中の一人がですね

精神おかしくしてしまって付きまとわれたりですね

もうむちゃくちゃなんです

むちゃくちゃが続きます

 

その上で義理の兄ね

奥さんのお兄さんですね

義理の兄がその借金苦で自殺しております

 

でその後姉ですね

姉の夫だ

義理の兄のですね借金苦による自殺で

その姉たちの家族も一緒に養わなければいけなくなる

それによって自動的に

貧困がさらに進んでいく

 

貧困・多忙・恩師の死そして女性関係のもつれ

多忙・衰弱

これがですねどんどん追い込んでいく

そして長編は一向にですね

モノになっていかないんですね

 

その瞬間を切り取るですね

鮮烈な短編それでデビューし

それがものすごい評価されるんですが

なかなか長編はモノになっていかない

 

そんな中ですね

彼はどんどんどんどん自分を追い込んでですね

もう死のうかなという風になるらしいんですよ

 

最後の方はもう遺作て思われるものが

続きます

「歯車」っていう作品もそうなんですが

この「西方の人」てのもそうなんですよ

これね最後どこにね救いを求めたかというと

この西方の人

西の人誰ですか?っていう話ですよね

これ誰だと思う?

西の人?大阪かな?

違うんです

 

西洋の人これはキリストのことなんですよ

キリストに救いを求め始めるんですね

その歯車という作品の中に描かれてるんですけども

自分はですねもう

幻覚も見えるぐらいもう神経が衰弱してたときに

救われたい救われたいという一心で

キリスト教の有名なクリスチャンに合うんですね

 

そのクリスチャン言うわけですよ

救われますよ

神は誰でも救ってくれますから

あなたは闇を持っていると言うが

闇があるところには光があるでしょ

こういう風にクリスチャンが言った

ところが芥川龍之介はね

光の無い闇もありませんか?

言うんですね

光の無い闇?

大丈夫必ず救われますから

その一点のみ

私とそのクリスチャンの人は理解ができなかったのである

相容れない平行線だった

私は救われない

そういう気持ちになったのだ

 

言いながらこれ西方の人っていうので

これ実はですね

芥川龍之介薬を大量に飲んで自殺するんですが

その数日前にこれ西方の人っていうの書いたんですよ

キリストのこと書いてある

キリスト教は信じられなかった

無償の愛はない

こう言うわけですよ

光はないとね

何故その時もね

何故僕の母は狂ったんですか?

ここはやっぱ気になったんですね

光はない

無償の愛は僕は見たことがない

こうなるわけですよね

それでキリスト教のことは分からない

言いながら

 

この西方の人

さらに続西方の人

なんと一週間おきにですね

二冊作ってるんです

ところがそれもう小説の手を成してないんですね

もうなんかメモのような

キリストなになになになに

ヨハネなになになになに

もうその時には

もう精神が酩酊していて

もう起きて書ける時間が

もうものすごい短い時間だったと言われてるんですね

 

そんな中とにかく

キリストだれだれだれだれ

こんな人だれだれだれ

キリストにとってなになになになに

そういうですね

それ小説ではないというですね

神経を衰弱した人がひたすら

キリストについて調べてメモをするというのが

西方の人・続西方の人なんですよ

そしてそれを残して

薬を飲んで死ぬ

 

辞世の句が残っている

これが

水鼻や鼻の先だけ暮れのこる

水鼻っていうのはね

鼻水のことなんですよ

風邪を引いて体調が悪くて

鼻水がひたすら出てしまう

だから鼻は赤いんですよ

鼻がずーとかんでるから

そして夜が更けてって

真っ暗闇の中自分の赤い鼻だけは

ぽつんとそこに浮かび上がっている

ってそういう詩なんですよ

どういう意味だと思う?

どういう意味だと思う?

これだから僕は二重の意味があるなって思ったわけですね

水鼻が出てる病の中でほんとに部屋が暗くなって寂しい

そんな中私は赤い鼻をね

晒して醜くてやだなぁ

それだけではないんじゃないか?

暮れていく闇の中にはね

落とし込まれていく

それはもう心の闇ですよね

あれだけ愛がもらえなかった

愛をくれた人はいなくなっていくね

どんどんとどんどんと

自分の才能も見えなくなっていく

真っ暗闇になった時に

鼻の先だけ暮れのこる

鼻だってさ

ここですよ

あの夏目先生に褒められた傑作と言われた鼻だけが

自分のかすかなプライドだけが

ぼんやり残ってる

 

その自我のなんと醜いことだと

こういう詩を残して死んだ

そして死んだ時

彼の枕元には理解のできなかったできなかった

聖書が置いてあったそうなんです

救われたくて救われたくて

救われなかった

 

このお母さん

向き合って

それども色んなものに向き合って

救われずに死んでったていうお話なんですよ

 

それを全て詰めこんだこの羅生門

あなたはどう思見ますか?

彼の名前を冠した華々しい賞をですね

毎年色んな作家さんが受賞している

それはいったい何のためなんでしょう?

 

人間の醜さと闇

これはもう分かったのか分からないのか

そして芥川龍之介は今

向こうで救われてるのかどうなのか

芥川龍之介の魂の行方は

誰も知らない

 

ではまた!